3Dプリント原価計算
造形原価 = (使用量g × スプール価格 ÷ スプール重量 + kWh × 電気単価) ÷ (1 − 失敗率)。PLA 100gの造形物(1kgスプール20、120Wで5時間、1kWh 0.15)はフィラメント代2.00、電気代0.09で、失敗率10%を入れると原価2.32、利益率30%なら販売価格は3.32です。1.75mmのPLAは1mあたり2.98g(密度1.24g/cm³)です。
使い方
- スライサーが示すフィラメント使用量をgまたはmで入力します。mを選んだときは、長さをgに換算するために直径(1.75または2.85mm)と素材も選びます。
- スプールの価格と重さ、プリンターの消費電力(W)、造形時間、1kWhの電気単価を入れます。実際の平均Wはワットチェッカーで測れます。ホビー用は80〜150W前後が多めです。
- 失敗率は捨てる造形物の割合です。後加工の人件費とプリンター価格・寿命時間は任意で、空欄なら計算に含めません。
- 希望の利益率を入れると販売価格が出ます。棒グラフで費用の内訳を確認できます。
計算方法
長さから重さへ: g = π × (直径 ÷ 2)² × 長さ × 密度(直径mm、長さm、密度g/cm³)。1.75mmのPLA(1.24g/cm³)は1mが2.98gで、1kgスプールは約335mです。
材料費 = g × スプール価格 ÷ スプール重量。電気代 = W × 時間 ÷ 1000 × kWh単価。減価償却 = プリンター価格 ÷ 寿命時間 × 造形時間。
失敗率fのとき、良品1個に平均 1 ÷ (1 − f) 回の造形が必要です。(材料費 + 電気代 + 減価償却) × (1 ÷ (1 − f) − 1) を失敗分として加えます。人件費は完成品にだけかかるので1回分だけ加えます。
販売価格 = 原価 ÷ (1 − 利益率)。利益率は原価ではなく販売価格に対する割合です。原価に対するマークアップは 利益率 ÷ (1 − 利益率) なので、利益率30%はマークアップ42.9%です。
密度(g/cm³)はメーカーのデータシートの代表値です。PLA 1.24(NatureWorks Ingeo 3D850、Prusament PLA)、PETG 1.27(Prusament PETG)、ABS 1.04(Prusament・Ultimaker ABS)、ASA 1.07(Prusament ASA)、TPU 1.21(95A TPUのデータシートは1.20〜1.22)。ブランド・色・添加物で変わるため、手元のスプールの値が違えば「任意の密度」を選んでください。
密度とフィラメントの重さ
この計算機が使うデータシートの代表密度から求めた、1mの重さと1kgスプールの長さです。ブランドによって数%違うことがあります。
| 素材 | 密度(g/cm³) | 1mの重さ(g)、1.75mm | 1mの重さ(g)、2.85mm | 1kgスプールの長さ(m)、1.75mm |
|---|---|---|---|---|
| PLA | 1.24 | 2.98 | 7.91 | 335 |
| PETG | 1.27 | 3.05 | 8.10 | 327 |
| ABS | 1.04 | 2.50 | 6.63 | 400 |
| ASA | 1.07 | 2.57 | 6.83 | 389 |
| TPU | 1.21 | 2.91 | 7.72 | 344 |
計算例
1kg 20のスプールでPLA 100gを120Wで5時間(1kWh 0.15)造形、失敗率10%、人件費1.00、400のプリンター(寿命4,000時間)、利益率30%の例です。金額はどの通貨でも使える仮の値です。
| 項目 | 金額 | 原価に占める割合 |
|---|---|---|
| 材料費 | 2.00 | 51.6% |
| 電気代 | 0.09 | 2.3% |
| 減価償却 | 0.50 | 12.9% |
| 人件費 | 1.00 | 25.8% |
| 失敗分 | 0.29 | 7.4% |
| 原価合計 | 3.88 | 100% |
| 利益 | 1.66 | |
| 販売価格 | 5.54 |
結果の読み方
- 失敗分は廃棄した造形の費用を良品に上乗せする額です。失敗率10%は材料費・電気代・減価償却に10%ではなく11.1%を足します。
- 電気代と減価償却は造形時間、残りは材料で決まります。速いプロファイルで時間を半分にすれば両方が減ります。
- スライサーのgに含まれないパージタワー、サポート、スカートの無駄と、税金・梱包・送料は含みません。
よくある質問
3Dプリントの費用はどのくらいですか?
多くの場合フィラメントが最大の費用です。1kg 20のスプールなら100gの造形で材料費は2.00、120Wで5時間、1kWh 0.15なら電気代は約0.09です。そこに失敗、プリンターの消耗、自分の作業時間が加わります。
フィラメントの長さをグラムに換算するには?
1mの重さ(π × (d ÷ 2)² × 密度)に長さ(m)を掛けます。1.75mmのPLAは1mで2.98g、1.75mmのPETGは3.05g、2.85mmのPLAは7.91gです。
失敗率はどのくらいで見積もればよいですか?
自分の記録を使ってください。失敗または廃棄した造形数を全造形数で割った値です。趣味では5〜15%がよくあり、調整済みで単純な部品なら低め、柔らかい素材や大型品は高めになりがちです。
利益率とマークアップの違いは?
利益率は利益が販売価格に占める割合、マークアップは原価に対する割合です。利益率30%はマークアップ42.9%にあたります。マークアップで考えるならマークアップ計算機を使ってください。
3Dプリンターの消費電力はどれくらい?
プリンター、ベッド、ノズル温度で変わり、ヒーターが入り切りします。平均はオープンフレームで50〜150W程度、密閉型や大型ベッドはそれ以上です。ワットチェッカーで測るのが確実です。
減価償却は入れるべきですか?
造形物を販売する場合や本当の原価を知りたい場合は入れてください。プリンター価格を想定寿命時間(3,000〜6,000時間と置く人が多い)で割り、造形時間の分だけ計上します。プリンター価格を空欄にすると含めません。